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PUMA エシカルスニーカーの販売!

ファッション

サッカーや陸上競技など様々なアスリートのスパイクとして使用されている、誰もが知るスポーツブランド「PUMA」。

歴史は古く、今から100年前の1924年にダスラー兄弟が製靴工場を始めたのがスタートです。

今や売上高は1.4兆円(2023年度)でグローバルに事業を展開しています。

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そんなグローバル企業の「PUMA」は、ファッション業界誌「The Business of Fashion」が発表した「サステナビリティ・インデックス2022」で1位を獲得しました!

このランキングは、ファッションビジネスの大手企業30社の中で、バリ協定の持続可能な目標に向けた達成度などからランク付けされました。

100点満点中49点で全体平均の28点を大きく上回り、「水と化学物質」「労働者の権利」「透明性」の分野で一位を獲得しています

https://www.reuters.com/business/sustainable-business/fashion-industry-risks-falling-short-green-goals-business-fashion-report-says-2022-05-31

今回は「PUMA」のサステナブルな事業活動と、PUMAを代表するスニーカー「SUEDE」をモデルとした分解性の高い持続可能なスニーカー「RE:SUEDE」をご紹介します!!

PUMA RE:SUEDEとは?

PUMA RE:SUEDEは、PUMAの人気モデル「SUEDE」を再設計して循環型のエコフレンドリーなスニーカーを作り出す実験です。「RE:SUEDE」はSUEDEの伝統的なデザインの美しさを保持しつつも快適性と分解性の可能性を考慮して再設計されました。

「RE:SUEDE」は分解性を考慮してなめしスエード・TPEアウトソール・麻繊維を使用し、2021年に500人のボランティアに6ヵ月間使用してもらいました。

使用中は靴本来の快適性と耐久性を確かめてもらい、その後靴は回収され特別な設備を備えた産業用堆肥化工場に送りました。

その結果、一般家庭でも堆肥化可能というレベルまではいきませんが、特別な運用手順により最終的に靴は堆肥となり、農業用の堆肥として販売まで行うことができました。

堆肥化プロセスや使用素材など課題は残しつつも、可燃ごみとして燃やされてしまう靴が堆肥として生まれ変わらせることができることがわかりました。

その意味でも、ファッション業界にとって重要なプロジェクトとなり、ファッションと環境への配慮が共存する新たなスタンダードを打ち出しています。

PUMA RE:SUEDE pilot project turns experimental sneakers into compost
Sports company PUMA showed that it can successfully turn an experimental version of its classic SUEDE sneaker into compo...

SUEDEの歴史と進化

PUMA SUEDEはプーマのコレクションの中でも最も人気の高いスニーカーで、そのルーツは1960年台後半に誕生したスエード素材のトレーニングシューズです。

1968年のメキシコ五輪では、金メダリストのトミー・スミスが表彰台でこのスニーカーを掲げ、黒の皮手袋をした右手の拳を上げる人種差別撤廃のパフォーマンスで大きなインパクトを残しました。

このクラシカルなモデルのスニーカーは半世紀以上の間に、社会問題やスポーツ、カルチャーとリンクし、バスケットボール選手やヒップホップアーティストなど多くの著名人に愛され続けてきました。

PUMA RE:SUEDEは、その長い歴史と伝統を受け継ぎつつも、現代のニーズに合わせてファッション業界が抱える環境問題とリンクして進化しました。

持続可能なファッションが求められる現代において、PUMAはこの歴史的モデルを再解釈することによって、ブランドの革新と環境への貢献を共に追求しようと試みています。

https://www.abc-mart.net/shop/pages/1802_puma_history.aspx

環境への配慮

2013年、バングラディッシュの首都ダッカ近郊の縫製工場が崩壊し、多くの労働者の方が命を落としてしまう大変痛ましい事故が発生しました。これが、ファッション業界の問題点を多くの人が知る機会となった「ラナ・プラザの悲劇」です。

この工場では、多くの方が低賃金・長時間労働による劣悪な環境で働いており、さらには経営側のずさんな安全管理により起こってしまった事故とされています。

ファッション業界の「大量生産・大量消費」「ファストファッション」を実現するにはコスト削減が必須となり、その結果こういった低賃金で働いている方を生み出す結果となっていました。

この事件をきっかけに、ファッション業界ではサプライチェーンの透明化が求められるようになり、多くのブランドが取り組みを始めました。

さらに、ファッション業界では「温室効果ガスの大量排出」「マイクロファイバーの海洋放出」「工業用水汚染の放出」「大量廃棄による焼却・埋め立て」という様々な問題を抱えています。

私たちが普段何気なく購入している洋服などは、製造(原材料の製造も含む)から流通、販売、そして使い終わって破棄されるまでに、社会に対して様々な悪影響を及ぼしているかもしれません。

そんな業界が抱える問題に対して、PUMA RE:SUEDEは環境保護を考慮して設計されています。このモデルでは、持続可能な素材を積極的に使用し、製造過程においてもエコフレンドリーな方法を採用しています。

また、RE:SUEDE実験の報告書を他のアパレルブランドにも積極的に開示して、業界全体でファッション業界の問題に取り組みめるようにしています。

この実験を通して、PUMAはブランドとしての信頼性を高めるだけでなく、環境保護にも大きな役割を果たしています。

RE:SUEDE2.0が販売開始

PUMAは2024年4月22日から、「RE:SUEDE」実験で用いられたスニーカーの市販モデルを500足販売しました。

「RE:SUEDE」実験で得られた教訓とボランティアの方々が実際に使用してみた意見を取り入れて改良が加えられました。

今回の販売した「RE:SUEDE2.0」を顧客が履き潰したらPUMAが無料で引き取ってくれます。そのスニーカーはPUMAのパートナーに送られ、実験同様に堆肥化プロセスにかけられて堆肥として生まれ変わります!

PUMAの最高調達責任者のAnne Laure Descours は今回の販売に関して、以下のように述べています。

「RE:SUEDE 2.0は、当社のフットウエアの実用的な使用後ソリューションの発見に向けた重要な一歩です。私たちはこの進歩に胸を躍らせていますが、引き続きパートナーとともに、廃棄物削減に有意義なインパクトを与えるために欠かせない、拡張可能で長期的なソリューションに必要なインフラを見極めるためのイノベーションを実現していきます。」

こういったファッションアイテムを購入できる選択肢は、消費者がエコフレンドリーなライフスタイルを選ぶ際の一助となっています。

現在、日本サイトでは購入することはできません。私たちでも購入できる機会ができることを楽しみにしたいですね!

※以下の海外サイトで商品ページが見られます。

https://en.zalando.de/puma-unisex-trainers-alpine-snow-pu115o0uy-b11.html

サスティナビリティ戦略 FOREVER.BETTER

PUMAは2019年に10FOR25という目標を策定しました。これは、国連の持続可能な開発目標に基づいて以下の10個の大項目を設定しました。

  • 01.人権
  • 02.気候
  • 03.循環性
  • 04.製品
  • 05.化学薬品
  • 06.プラスチックと海
  • 07.水と空気
  • 08.生物多様性
  • 09.健康と安全
  • 10.公正な収入
Our Targets
PUMA's sustainable targets in stakeholder engagement, human rights, social compliance, climate change, chemicals, water ...

そして、この10FOR25の目標に基づいて全ての事業を遂行しようという、「FOREVER. BETTER.」サスティナブル戦略をCEOとCSOのリーダシップの元、遂行されています。

今回ご紹介した「RE:SUEDE」実験も、10FOR25の「03.循環性」「06.プラスチックと海洋」に基づいたプロジェクトとなっています!

また、別記事でご紹介予定の「RE:FIBRE」も10FOR25に基づいたプロジェクトです。

このように、PUMAは詳細な目標設定を行い、全社的にすべての事業で「FOREVER. BETTER.」を目指しています!

持続可能なファッションアイテムの選択

今回ご紹介した「RE:SUEDE」は、現代のファッション業界が抱える「大量生産・大量消費」「廃棄物問題」「海洋プラスチックごみ」を解決する新たな選択肢を提供してくれました。

何気なく購入しているファッションアイテムが、どのように生産されて・どのように廃棄、処理されるのかに興味を持ち、商品を購入する際に気にしてみてはいかがでしょうか?

PUMAのような大手企業だけではなく、ファッション業界では様々な企業が持続可能な商品開発に取り組んでいます。

購入する前に、少し立ち止まって商品に関して考えてみることがエシカル消費の第一歩ではないでしょうか?

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